高齢者問題

高齢者問題

財産の管理や後見・家族信託などの高齢者の方の問題の解決をいたします。

日本は、空前の高齢化社会を迎えています。判断能力が十分でない高齢者をターゲットにした犯罪や訪問販売被害が増えています。

訪問販売等で購入した物は、クーリングオフをすることにより、契約を解除することができる場合があります。
どのような場合に契約を解除することができるのかについては、弁護士に相談下さい。

また「離れて住む両親の判断能力が心配だ」と悩んでいるお子さんもいらっしゃるでしょう。
そういう場合、ご両親に財産があると、様々な悪質業者が寄ってきて、知らないうちに財産がなくなっていることがあります。

そのような事態に陥らないためには、ご家族のどなたかをその方の成年後見人に選任してもらったほうがよいでしょう。
多くの財産がある場合には、信頼できる弁護士に成年後見人になってもらうのもよいでしょう。

高齢者の方への法律サービスとしては、以下があります。

■成年後見制度

成年後見制度とは,ある人(以下「本人」といいます。)の判断能力が精神上の障害により不十分な場合(認知症高齢者,知的障害者,精神障害者等)に,本人を法律的に保護し,支えるための制度です。例えば,本人のために預金の解約,福祉サービス契約の締結,遺産分割協議,不動産の売買等をする必要があっても,本人の判断能力が全くなければ,そのような行為はできませんし,判断能力が不十分な場合にこれを本人だけで行うと,本人にとって不利益な結果を招くおそれがあります。そのような場合に,家庭裁判所が本人に対する援助者を選び,その援助者が本人のために活動する制度が成年後見制度です。
したがって,本人の障害が身体的なものだけの場合や本人が単なる浪費者,性格の偏りがあるだけである場合にはこの制度を利用できません。

成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度の2種類があり,また,法定後見制度には成年後見,保佐,補助の3つの類型があります。

①法定後見制度(法律による後見制度)

  • 成年後見・・・本人の判断能力が全くない場合に,家庭裁判所が後見人を選びます。
  • 保佐・・・本人の判断能力が著しく不十分な場合に,家庭裁判所が保佐人を選びます。
  • 補助・・・本人の判断能力が不十分な場合に,家庭裁判所が補助人を選びます

・法定後見の申立

家庭裁判所に成年後見の申し立てをした後の手続きの流れは以下となります。
申立てから審判までの期間は事案にもよりますが、2ヶ月以内で審判に至るのが全体の約8割で、制度開始当初と比べると審理期間は大幅に短縮しています。

  • 1 家庭裁判所への申し立て
  • 2 家庭裁判所の調査官による事実の調査申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます
  • 3 精神鑑定
    実際に精神鑑定がおこなわれるのは稀で、申立て全体の約1割に過ぎません
  • 4 審判
    申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者がそのまま選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士等が選任されることもあります
  • 5 審判の告知と通知
    裁判所から審判書謄本をもらいます
  • 6 法定後見開始 ※東京法務局にその旨が登記されます

②任意後見制度(契約による後見制度)

本人に判断能力があるうちに,将来判断能力が不十分な状態になることに備え,公正証書を作成して任意後見契約を結び,任意後見人を選んでおきます。

任意後見制度は本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人(任意後見人といいます)を、自ら事前の契約によって決めておく制度です(公正証書を作成します)。なお、任意後見制度での家庭裁判所の関与は、本人があらかじめ選任しておいた任意後見人を家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督するにとどまります。

なお、任意後見契約においては任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかは話し合いで自由に決めることができます。ただし、一身専属的な権利(たとえば、結婚、離婚、養子縁組など)については任意後見契約に盛り込むことはできません。

■遺言の作成

遺言書がなければ、相続人は財産を残した人の意志とは無関係に遺産分割協議を行って、財産を自由に分けてしまいます。
また、遺産分割協議で紛争になるかもしれません。民法では、相続について法定相続分の規定はありますが、これは各家庭の事情を考慮したものではありません。
ですから、法定相続分に従って遺産を分割した場合、遺産の形成に貢献した相続人や、介護や看護に努力した相続人などから反発が起こり、近親者同士で争いが発生してしまうことがあります。
例えば子供のいない夫婦で夫に先立たれた場合、妻は自宅に住み続けるでしょうし、夫の蓄えが生活費として必要になるはずです。
ところが遺言書がない場合、夫の財産の1/4については兄弟姉妹が相続することになり、自宅を売却して遺産分割をしなければならないかもしれません。
そうなると、妻は生活に困ってしまうでしょう。
もし事業を行っている場合ならどうでしょう。事業を営み続けるには事業用資産が必要で、それが勝手な遺産分割で分散されてしまうと、事業の継続も危ぶまれます。
こうした不都合を避けるためにも、遺言書の作成は必要なのです。

遺言の種類には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3つがあります。
メリット・デメリットなどについてご紹介します。

①自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言書全文、日付、氏名のすべてを手書きし、押印して作成する遺言のことです。
パソコンで作成されたものや、第三者が代筆したものでは無効になってしまいます。
この遺言書は封をしなくても大丈夫ですが、封をした場合は、相続時に家庭裁判所での開封・検認が必要となります。
証人や立会人が必要ないため、手軽に作成することができ、作成費用もほとんどかかりません。
ただし、証人がいないため、遺言書が発見されないまま遺産分割が行われたり、相続人に発見されて隠匿されたり破棄されたりする恐れがあります。
また、相続人から強制的に遺言書を作成させられたり、訂正させられたりすることもあるでしょう。相続人が遺言者の筆跡をまねて遺言書を作成することもあります。

②秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、内容を秘密にしておきながら、遺言があることを知らせておく遺言です。
遺言者が遺言書を作成して署名・押印し、遺言書を封筒に入れて密封した状態で公証役場へ持参するので、内容は誰にも知られることはありません。
公証役場では証人2名の立ち会いのもと、公証人に対して自分の遺言書であることを伝えます。
公証人は封筒に遺言者が述べた内容と日付を記載し、最後に公証人、遺言者、証人が署名・押印します。証人になれない人もいるので注意しましょう。
守秘義務のある弁護士であれば、証人になっても遺言書の存在が外部に漏れることはありません。
この遺言書は、自筆で作成する必要がないため、パソコンで作成したものや第三者に作成してもらったものでも構いません。
その場合、遺言者は自分の名前のみ自筆で署名します。
相続人に内容を隠しておくことができるため、偽造されたり強制的に作成させられたりする可能性は低いでしょう。
ただし、公証人は内容を確認しないため、形式の不備などにより遺言が無効になってしまう恐れがあります。

③公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場に出向いて公正証書として作成する遺言書のことです。
まずは、証人2名の立ち会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で述べ、その内容を公証人が筆記します。
それを遺言者と証人に読み聞かせるか閲覧させた後、遺言者と証人が公証人の記述が正確であると承認して、各人がこれに署名・押印。
最後に公証人がこれまでの手続きを経て作成したものだと付記して、署名・押印して完了です。
この遺言書のメリットは、原本が公証役場に保管されるので、隠匿、破棄、変造が不可能な点にあります。
公証人が作成するので、遺言の趣旨が不明瞭になったり、形式の不備によって無効になったりすることもありません。
また、弁護士に証人を依頼した場合には、弁護士と公証人が事前に遺言書の文言について打ち合わせを行うため、作成がスムーズです。
また、証人を2名立てて遺言内容を確認するため、その内容が外部に漏れてしまうかもしれません。
しかし、こうしたデメリットは証人を弁護士に依頼すれば解消できます。
こうした理由から、公正証書遺言がもっとも安心できる遺言の方法だと思われます。

【遺言書作成の流れ】

  • (1)遺言書作成をご依頼いただく
    上記のどのケースに当てはまるかをお知らせいただければ、遺言書を作成される方のご要望に沿って作成場所をご提案いたします。
  • (2)全財産の調査・確認を行う
    預貯金や不動産、株式、債券、保険、自動車、貴金属のような「プラスの財産」、借金や保証といった「マイナスの財産」の調査・把握を行います。
  • (3)相続人の調査・相続関係図の作成を行う
    遺言を作成するご本人の、生まれてから現在までの身分関係を確定するため、戸籍謄本を集めます。
    これだけでは身分関係を確定できない場合は、ご本人の戸籍謄本の記載事項を遡り、改製原戸籍謄本などを取得する必要があります。
    調査の結果、判明した身分関係をもとに当事務所で相続関係図を作ります。
  • (4)遺言の形式(自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言)を選ぶ
    自筆証書遺言の場合、原文の書き方を当事務所の弁護士がお教えして、ミスのないよう作成して頂きます。
    秘密証書遺言も同様です。
    当事務所で最も多くご依頼をいただいているのは公正証書遺言です。
    ご本人のご負担を減らすため、文言は当事務所と公証人とが作成前に打ち合わせします。
    公証人役場にご本人と、証人2名(当事務所の弁護士を選任していただく場合が多いです)が出向いて、遺言書を確定させます。

■家族信託

家族信託は、家族のための財産の管理と承継に関する法的な仕組みです。
家族信託は、大事な財産をしっかり管理してご本人やご家族のために活用し、かつこの財産を差し上げたい人に確実に承継(遺贈)させる仕組み(財産を「守る」「活かす」そして「遺す」こと)を一つの法制度で達成できる制度です。

家族信託は

  • 1) 多くは、高齢者、認知症の方や障害をもつ方(知的障害者や高次脳機能障害者等)など財産管理のできない人を支援するために活用します。
    知的障害者のお子さんに財産を相続させたい、認知症の配偶者が財産管理ができないので負担付遺贈を考えたいなどの事例では、家族信託を活用して、これらの人の生活や福祉をしっかり護ります。
  • 2)家産や事業用財産の確かな承継(円滑な承継)のために活用します。
    会社の創業者や奥様が高齢で、事業の経営はもとより株式の議決権を適切に行使できなくなったので、確かな事業承継を考えて会社に貸与している不動産などを後継者に信託譲渡したい。だが、後継者には、まだ株式は渡したくないなどの悩みを解決します。
  • 3) 第一次相続では遺産分割をせず第二次相続で財産分割を行い配偶者等の生活の確保と公平な相続を実現するために利用します。
  • 4)社会貢献等を考えた財産の活用のために利用します。
    空き家になる不動産につき家族信託を利用し、収益性のある財産として活用するとともに課税問題をも解決し、かつ地域のためにも役立てたい場合に利用します。

※「信託」とは、信託を設定する者(委託者)が、自分が持っている一定の財産を別扱いとして、信頼できる者に託して名義を移し、この託された者(受託者)において、その財産(「信託財産」)を設定者が定めた一定の目的に従って管理活用処分など必要な行為を行い、その中で託された財産や運用益から利益を受ける者(受益者)に生活費等として給付しあるいは財産そのものを引き渡して、その目的を達成する法制度です。
この仕組みを達成する手段(信託を設定する法律行為)は、契約(信託契約)、遺言(遺言信託)と自らの宣言(自己信託)の3種類があります。

※「家族信託」は、相続や遺贈という法の仕組みを使わずに、財産を特定の人に承継させ遺贈などができます。もちろん、相続人の遺産分割は不要です。

また、家族信託は、後見制度ではできない本人の財産を本人だけでなくその家族のために使い、家族を護ることもできます。したがって、成年後見制度では実現が困難な、財産を家族のために、さらには本人のために思いどおりに(後見人の支配を受けずに、また家庭裁判所の監督を受けずに)財産を使うこともできます。この家族信託制度を利用すれば、金融資産は成年後見制度の後見人制度支援信託の対象財産から外れます。したがって、本人に成年後見が開始されても、信託財産である金融資産が家庭裁判所の管理(指図権)下に置かれることもありません

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